タイトル



     最後の百ハイをゴールした後、帰りの新幹線の中で1人シートに座ると、今まで百ハイと共に過ごしてきた11年間の出来事が走馬灯のように巡る……暇もなくコンビニ弁当にガッつきました。戦の後も腹が減るのです。…ま、飯を食って落ち着くと、やはりいろんな事が思い起こされましたがね。

    ■私にとっての「百ハイ」

     そもそもは初参加で仮装大賞を貰ったのが事の始まりでしたが、年を重ねていくにしたがって、私にとっての「百ハイ」はいろんな意味を持つようになって来ました。その中でも一番大きいのが「大物制作物の実験の場」というのがあったのではないかと。
     もともと、極たまにですが日曜大工をしていましたが、百ハイの時にはここぞとばかりに使った事のない材料を試しに使ってみたり、新しい工具を使ってみたり…と、普段ではなかなか踏み切れないチャレンジへのキッカケになっていたように思います。
     あと、仮装衣装を制作しながら、「道中に発生するであろうトラブル」と「それに対する対策法」なんかを考えるのも楽しかったですね。堅っ苦しい言葉を使わないで言うと「何が起こるか想像してワクワクするのが楽しかった」とも言えますが。
     元来、学祭などでも裏方の仕事をするのが主で、あまり目立つ事をするのは好きではなかったのですが、仮装大賞を連続受賞したところで、さほど褒められた事ではありませんから…その「無冠の王者」じみたところが、裏方の仕事と通じるものがあって居心地が良かった、てぇのもあったのかも。

    ■「百ハイ」を引退する理由

     前々から仮装大賞を誰かに奪われたら引退しようと思ってましたが…下手くそながらも自分のレベルそれなりに上がっていくにつれて、それは無理なのかも知れないと思うようになりました。実際、毎年他の人の仮装を見るに、私の昔の仮装よりもずっと出来の良いものを作っている人がたくさんいます。でもそこで、私が経験にモノを言わせて仮装大賞をさらって行ってしまうわけで…若い芽をかなり摘んでしまった感が否めません。元来学生のイベントの筈なのに、OBの私がデカい顔をするのはかなり気が引けるのです。
     他の理由を挙げるとするなら…経験の多さが人の心を豊かにすると言うのであるならば、悔やまれてならないことの1つに、「百ハイで途中でリタイヤするという経験が出来なかった」というのがありまして…重い仮装衣装の中で力尽き、薄れ逝く意識の中で、後から来た参加者に言いたかったのですよ、
    「オレの屍を越えて行け!」と(笑)
    しかし、幸か不幸かそういう経験も出来ず今に至りましたので、ここで百ハイ自体をリタイヤしようかなーとか思いまして。
     …んーっと…でも、どっちも一番の理由じゃないな。一番の理由は「『装着して100km歩ける構造』という制約から解放された仮装衣装を作ってみたい」かしらね。色々作っている最中に、100km歩かないのであれば可能な様々なアイデアが出まして、それを実際にやってみたい→でも一年に複数も衣装を作る余裕がない→100ハイをやめよう、てなのが正直なところではないかと。ものすごーく平たく言うと「普通のコスプレをしてみたい」って事になりますが、それ言うと実も蓋もないけど(汗) ま、私がするわけですから普通のものにはなりませんがね。

    ■見えない部分の話

     毎回申し込みをする時に使っていた団体名が「川島修を囲む会」でした。川島氏は私のサークルの大先輩で今までに百ハイに21回の参加経験のある大ベテランです。私が百ハイを始めるきっかけは、勿論「ヤキソバン」の存在がその一端を荷っていますが、初参加する前年にちょうど川島氏が10回目・1000km完歩を達成したのを見て、面白そうだなと思った事も大きな理由の1つです。
     川島氏は、コース中の重要なポイントではしばしば、仮装衣装のせいで視野の狭く音が聞き取りづらい私の目や耳となり、様々なサポートしてくださいまして…本当は先頭集団ペースで歩けるレベルの方なのですが…申し訳ないばかりで。
     私のこの10回目・V9仮装大賞&完歩は、ある意味川島氏のお陰と言っても過言ではありません。この場をお借りいたしまして、厚く御礼申し上げます。

    ■最後に

     第33回の百ハイで「今年の仮装はレベルが低い!」とぬかしやがった昂揚会の審査員を、これで黙らせる事が出来たかなぁ? ま、10年も昔の事なので、もういないだろうけれど。
     今後、参加はしませんが、暇の許す限り開会式の見物等には行こうかと思ってます。くれぐれも再び同じような事を言われないように、若いパワーを見せつけて下さい。
     私が勝ち逃げしたせいで、何を基準に「私を負かした」と呼べば良いかわからなくなりましたが、安心してください…仮装大賞V10をすれば良いだけの事です(笑)

     今後とも、百ハイに関わった全ての方々に幸多からん事を…

    P.S.
    最後に言わせてくれ〜!
    所沢キャンパスのおしるこですが…個人的には、かけうどんやわんこそばを熱望! ま、これは好みの問題かも知れませんが。ここでタラフク食って、体育館内でもらえるパンを、次の区間の途中で食べるお弁当に使えればうれしいかなぁ、なんて。贅沢ですかねぇ?

    2004.5.21
    早稲田大学理工学部情報学科OB(1996年卒)
    第32、34〜42回仮装大賞
    山本 桂生
     

    P.S.2
     どうも手狭になってきたので、2005.10.2 に全ての仮装衣装を解体処分しました。これで本当に全て終了です。