タイトル



     同じ重さの荷物でも、その形状によって持ち易さが変わり、人に与える疲労度は大幅に変わってきます。それは百ハイ仮装衣装においても同様で、同じ重さでも、その形状によって歩きやすさに差が出てきます。
     ここでは、どんな形状の仮装衣装が百ハイに最適なのか、過去のデータを元に考えています。


    1. タイプ別考察
    2. 百ハイに適切な構造




    ■服タイプ
     ◇例…ペプシマン・二宮金次郎像

     百ハイ仮装の中の大部分を占めるのがこのタイプです。
     仮装衣装なので、多少特殊な形状であるにせよ、服である事には変わりないので、歩き易さは最高で、殆どなんの苦も無く歩けます。このタイプの仮装でヒーコラ言っている人は他の仮装はしない方が身のためでしょう。
     一番の弱点は、それがどんなにすばらしい服飾技術で作られた衣装であっても、服でしかない点です。インパクトが弱かったり認知度の低いキャラを選択すると、何がなんだかわからなくて、出来の悪いピエロかチンドン屋にしか見えません。一般人から見ると世のコスプレイヤーたちがアホにしか見えないのはそのせいです。また、顔部分が露出していると、仮装しているキャラではなくて、その顔の人が変な格好をしているだけにしか見えないので、かなりのマイナス。あと、当たり前ですが、ある程度の裁縫の知識やミシンの使い方を知ってないと作れませんよね…
     この服タイプを選ぶのは、

    • 仮装対象キャラの認知度が非常に高い。
    • 自分の顔が露出してもそれが無視されるほどのインパクトがある。
    • もしくは顔が露出しない。
    • 仮装衣装を使って小ネタができる。
    • ある程度裁縫が出来る

    などの条件がそろった時ですな。
     肌に直接触れる部分には、摺れても大丈夫なように柔らかい生地を使う事を推奨します。



    ■箱タイプ
     ◇例…正露丸

     百ハイ仮装で二番目に多いのがこのタイプ。体全体を覆えるほどの大きな箱を被って、直方体で構成された物体の仮装をします。そこら辺に転がっている箱を利用するので、作り易さはピカイチです。その代わりに、見栄えのショボさもダントツで、工作が下手だと、行動派のホームレスかキュービズムに傾倒した蓑虫にしか見えません。オマケに、手がほとんど振れないのが致命的で、これと仮装衣装の重量せいで足にかかる負担は倍増すると思ってください。
     つまり、この箱タイプを選ぶのは、

    • 直方体で構成されたヒット商品がある。
    • 手が振れなくても完歩できる体力がある。
    • 紙工作が得意

    などの条件がそろった時ですな。
     あと、箱の防水処理や濡れないようにするカバーを用意する事もお忘れなく…




    ■上半身ハリボテタイプ
     ◇例…たまごっち、iMac、トロ

     大きなハリボテ部分でインパクトを与えつつ、手の可動範囲をある程度確保して、歩きやすくしたタイプ。脚部分は完全にフリーなので、歩くフォームを阻害する物はありません。衣装の固定方法は、肩へ担ぐタイプや、頭頂部で支えるタイプ、バックパックに固定するタイプ等、衣装の形状に合わせて変えられます。
     弱点は、その大きさから来る負担です。フレームが柔らかったり体への固定が甘いと、歩く振動と衣装の揺れに時間差生じ、結果的に体の動きとは逆方向の力を断続的に発生させ、体に負担をかけます。この負担は、衣装の大きさが大きけば大きいほど、重心から末端部までの距離が離れるために大きくなります。オマケに手の振りも通常の歩行フォームと比べると振りが弱く、その分、脚への負担も加算されていきます。大きすぎると、他の歩いている人たちに迷惑になるのも問題…幅は90cm以下に抑えるべきでしょう。
     この上半身ハリボテタイプを選ぶのは、

    • 人型で再現できないキャラや商品で認知度の高い物がある。
    • 幅がそれほど広くなくても大丈夫。
    • 手の振りがそれほど無くても完歩できる体力がある。

    などの条件がそろった時ですな。
     仮装には関係ない部分だといっても、脚にもその仮装にあわせた配色のジャージを着たりして、統一感を高める事もお忘れなく。



    ■頭部ハリボテタイプ
     ◇例…森元首相

     上半身ハリボテを少し小さくして、首から上の部分だけをハリボテにしたタイプ。腕や脚は服タイプと同様に負担はほぼ皆無なので、首の疲れさえ我慢すれば、普通の歩行となんら変わりなく歩けるのが最大の利点。
     弱点は、ハリボテ部分が小さくなる事からくるインパクト不足でしょうね。この頭部の出来が悪いと全てが駄目になります。また、頭部だけでは仮装としての完成度は低いので、体にもそれにあわせた服を着なければなりません。
     この上半身ハリボテタイプを選ぶのは、

    • 人型で再現できるキャラで認知度の高い物がある。
    • 首が丈夫である。
    • ハリボテと布衣装の両方を作る技術と時間がある。

    などの条件がそろった時ですな。



    ■全身ハリボテタイプ
     ◇例…ASIMO

     上半身だけでなく、脚部もハリボテで覆うタイプ…甲冑タイプとでも言いましょうか。何度も言いますが、百ハイ仮装において、脚を硬い材料で覆う行為は無謀です。歩行フォームを著しく乱す上に、常に余計な負担をかけ続ける事になるので、シロウトにはお勧めいたしかねます。勿論、クロウトにもお勧めしません。
     このタイプを選ぶ条件は、

    • 百ハイに命をかけられる人。

    ただその一言に尽きます。私がASIMOで閉会式に間に合ったのは、多分奇跡です。百ハイの神が私に微笑んでくれたのでしょう。



    ■着ぐるみタイプ
     ◇例…DAKARA

     安物の特撮用衣装みたいに、柔軟性のある素材で体中を覆うタイプ。それなりに動きやすいですが、服タイプと比べると、かなり動きにくい上に、かなり暑いです。さらに、製作にある程度の技術と手間とお金がかかります。こういうのを作るのが楽しいと感じる人でなければ無理でしょう。
     このタイプを選ぶ条件は、

    • それなりに工作の技術がある。
    • 財布に余裕がある。
    • 暑いことを我慢できる。
    • 全身が多少動きにくくても完歩できる体力がある。

    などの条件がそろった時ですな。すぐに水分補給が出来る形にしておくことも忘れずに。




    ■左右対称

     百ハイでは、しばしば片手に何かを持っている方を見かけますが…見えないところで、その偏った負荷が 脚を蝕んでいる可能性があります。
     例えば、歩幅を0.65mと仮定すると、100kmを歩くためにはおよそ16万歩…片足だけに注目すると8万歩も歩く事になります。ここで、もし右手に500gのペットボトルを持ったまま歩いたとすると、右足に対する負荷は、単純計算で0.5kg×80000回=40000kg分=40t分の負荷(?) …いやまぁホンマに物理も単位も無視した直感的な数値ですが、極僅かのバランスの悪さでも、それが何万回も長時間続いたら相当なダメージになる事を強調したかったわけです。
     この左右のバランスの悪さからくる偏った身体への負担は、偏った部分の痛みの原因となり、さらにそれをかばおうと歩いたために今度は逆側に負担をかけ、そこが痛くなり…と痛みが全身に及ぶ羽目になり、本来こうむる事の無かったダメージを受ける事になります。これを避けるためにも、仮装衣装はなるべく左右対称にするのが良いでしょう。
     毎年、腰に刀を差した侍や新撰組の仮装をした人がいますが、模造刀もかなり重いので、左右のバランスが崩れる事から来る負担や、差している部分の皮がすりむける事等を覚悟しておいた方が良いです。(模造刀にも、見た目と手に持った重量感を重視した物と、時代劇のチャンバラ用の振り回しやすい軽い物があるそうですが、後者の物はあまり見かけませんね。)
     この左右のバランスを対称にするためには、仮装衣装だけでなく、普通の荷物にも気を使った方が良いです。肩掛けバッグや手持ちカバンは勿論の事、片掛けDパックも避けた方が◎。ウエストポーチも歩いている最中はお尻の上付近に回して左右のバランスを保っておいた方が無難です。足の痛みに耐えかねて、杖を付いている人もたまに居ますが、あれも長時間続けるとさらに痛い部分が増えるだけです。出来る事なら避けましょう。また、懐中電灯は手持ちでなく、頭部に固定できる頭部に固定できるタイプのものが良いです。
     効果は僅かかもしれません。でも、ただひたすら足が痛くなるイベントですから、その痛みが僅かでも和らぐのならやらない手はありません。



    ■視野確保

     自分の顔を覆うと仮装の完成度は上がりますが、その分視野が狭くなり装着者への精神的負担が高くなるばかりでなく、躓いたりぶつかったりして、他の参加者にも迷惑がかかります。また、狭い路地や深夜の車道脇をかなりの距離歩く事になるので、交通安全面にもかなり問題があります。この問題を解決するためには、あらかじめ広い視野を確保できる形状に変形(?)できるように作っておくか、顔(特に目の周り)に密着して目の前をさえぎらないマスク状の物に留めておくか、のどちらかにすべきでしょう。



    ■携帯性

     第40回辺りから手荷物の大きさに規制できて、キャリアーなどは不可になりました。この事により、あまりにも大きな仮装衣装を作ると家〜本庄および大隈講堂〜家と持ち運ぶのに一苦労する事になります。この事も考えて、分割できたり折り畳めたりする形状にしておいた方が無難です。電車で持ち運ぶ場合、あまりにもかさばる形状だと一般の乗客にも迷惑がかかりますからね。