タイトル



     ここでは、百ハイ衣装を作る時に私が使っている素材とツールを紹介しています。殆どが独学・我流なので、美術館系の方やモデラーの方が使っているツールや手法とは違う可能性もありますが…まぁそこら辺は大目に見てください。



    ■ダンボール
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     ◇使用例…正露丸本体

     いちばん手軽に手に入り、加工もしやすい素材の一つ。軽くて丈夫で、何枚も張り合わせれば、ちょっとした木材程度の強度を実現できますが、所詮は紙…水・汗には恐ろしく弱く、かなりの確率で雨が降る上に装着者が汗だくになる百ハイでは、かなりの確率で崩壊します。表面に防水スプレーや塗料を塗布する事によって多少丈夫になりますが、気休め程度だと思ってください。
     切断はハサミ、カッターなど、紙工作用の工具は殆ど使えます。接着は粘着テープが手軽ですが、木工ボンドを全面に塗って接着すれば恐ろしく頑丈になります。
     ダンボールの構造上紙の目に沿って折れやすいので、目を90度ずつずらして積層して接着したり、折れにくい方向に荷重がかかるように向きに気を配りましょう。




    ■プラスチックダンボール
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     ◇使用例…たまごっちフレーム、iMac本体、トロPS2部、森元首相服用パット

     PP(ポリプロピレン)で出来たダンボール状の板。軽くて丈夫で、材料としての性質はダンボールに似ていますが、決定的に違うのは水に強い点。
     裁断は紙用のハサミで切れない事は無いですが、少々困難。カッターナイフか万能バサミが良いでしょう。接着は粘着テープや接着剤が使えますが、露出しない部分であれば、小さい穴を開けてM3ネジでネジ留めすると安心です。その際はワッシャをかませる事を忘れないように。



    ■発泡スチロール
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     ◇使用例…トロ頭部、森元首相頭部、ASIMO頭部、DAKARA頭部&ボディ部、二宮金次郎薪部分

     紙よりもはるかに軽く、弾力もあり加工もしやすいので、簡単なオブジェには最適の素材ですが、同時にかなり扱いが難しい面もある素材です。
     一番の問題点は、他の素材にくらべて値段が高いところ。100gで1000円弱←ステーキか何かですか?人が入れるほどの大きさの発泡スチロールの塊を買おうとしたらウン万円かかってしまうので、板状の物を買ってきて、積層接着していく手法を取ったほうが安上がりです。こういう材料は、およそ、30・45・60・90・180cmで区切られたサイズで売られているので、それにあわせた設計図を描くと、経費節約につながります
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    ▲分割&積層による製作法
    ギリギリにつめて180×90×5cm板2.5枚分に収める

     第二の問題点は、普通の接着剤が使えない点です。普通の有機溶剤入りの接着剤では、スチロールを激しく溶かしてしまうので、「発泡スチロール専用」と書かれた接着剤か、「スチのり」を使います。これで引っ付く事は引っ付くのですが、巨大なハリボテの場合、中まで乾くのに3日はかかるので注意が必要です。また、似たような理由から、油性塗料は使えません。「発泡スチロールにも使える」と書かれた水性塗料を使う事になります。
     第三の問題点は、表面処理が必要な点です。発泡スチロールはその構造上、表面に必ず凹凸が出来ます。そのせいで光沢ある質感を出すためには、その凹凸を埋める処理をしければなりません。私は大きな凹凸をアクリル塗料用のモデリングペーストで埋めた後ジエッソを塗って仕上げています。
     第四の問題点は、加工によるスチロールゴミの処理です。発泡スチロールを削っていると大量のスチロールの削りカスが出ますが、この掃除が恐ろしく大変です。ホウキで掃けば舞い上がって一箇所に集まりませんし、軽いけど体積だけはあるので掃除機のタンクもあっという間に満杯になります。オマケに静電気を帯びやすく、掃っても掃ってもすぐに引っ付きます。いちばん厄介なのはこれを捨てる時…普通に袋に入れて捨てるとごみ収集車に入れる際のプレス圧で破裂し、周囲にスチカスが舞い散り、近所迷惑になります。最低でもゴミ袋を3重にして、飛散防止のために中がビチャビチャになるほど水を入れて湿らせて、十分に空気を抜いてから捨てるようにしましょう。
     切断ツールとしては、電熱式専用カッターが有名ですが、直線切りが難しい上に、切断厚に限界があるので巨大ハリボテを作るには向いてません。木工用ノコギリで一気に斬った方が早くて手軽です。木と違って素材がやわらかいのですぐに刃が斜めになるので、刃の角度に注意が必要です。ノコギリで大まかな切断を行ったら、カッターナイフでもう少し細かい部分を切断します。
     大まかな切り出しが終わったら、荒目のヤスリで荒削りです。私はドレッサーと呼ばれるグリップタイプのヤスリを使っています。荒削りが終わったら、手持ちやすり等で、細部の仕上げを行います。先端に刃の代わりにヤスリが付いた発泡スチロール用彫刻刀なんてものもありますので試してみるのも良いでしょう…かなり使いやすいです。
     最後の仕上げに、#80程度の紙ヤスリで表面を磨いた後、モデリングペースト&ジエッソを塗って表面処理を行い、好きな色に塗れば完成です。
     切断が上手くできず、すき間が出来て接着しにくくなる事が多いですが、そんな時には、発泡ウレタンスプレーで接着兼すき間充填を行うという裏技があります。質感もわりと近い(若干固い)上に接着力もあるので結構使える技です。しかし、発泡ウレタンは放っておくとどんどん膨張して行き、隙間を埋めるどころか、隙間を広げる可能性もあるので、しっかりと固定しておく必要がありますし、手に付着するとベトベトに、硬化後はカチカチになり、かなり厄介です。取り扱いには十分注意しましょう。

    ■木材
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     ◇使用例…たまごっちフレーム補強用、ASIMO本体、二宮金次郎像背負子フレーム

     木材は一般的な見地から見れば軽くて丈夫な素材ですが、百ハイ仮装の材料としては、重い部類に入ります。というのも、紙のように薄い形状の物があまり無いので、必要以上に重く頑丈に出来てしまうからです。その代わりに出来たものの完成度は群を抜いています。
     一言に木材と言っても、かなりの種類があるので、どれを使えばよいのか迷いますが、私が推奨するのは、以下の3種類です。っても、これら以外の木材を推奨しないのは、「使ってみたら加工がしにくかったり、使い勝手が悪かったので推奨しない」ではなくて、「値段が高いから使わない」って理由からです。

    • ファルカタ材
       100円ショップでも売っている安物木材。比重0.3前後。割れやすく、爪を押し付けると凹むほど柔らかいが、その分加工のしやすさはピカイチ。15mm厚の板でも頑張ればカッターで切れる。例えるなら「重いバルサ材」といった感じ。数キロ程度のハリボテを支える骨組みにはこれで十分。
    • 桐集積材
       比重0.4ぐらい? 軽くて安い。ファルカタ材よりも硬いがやはり割れやすい。ファルカタ材は板状の物が多いが、これには角柱ものが多い。
    • ベニヤ板
       比重0.5以上。いわゆる合板。薄い板状のパーツ用にはこれが最適だが、同体積のほかの木材と比べて2倍近く重いので多様は禁物。一般的には薄ければ薄いほど値段は安くなるが、厚さが2mm以下になった途端、「航空ベニヤ」と名前が変わって値段が跳ね上がり、薄ければ薄いほど高くなるので注意。いちばん安くて薄いのは2.5mm前後の物。丸みを持たせたいときには、熱湯をかけて柔らかくして曲げてから乾燥させる。

     切断は主にノコギリを使いますが、ベニア板などは厚さが6mmまでならカッターナイフで切る事が可能です。接着は木工ボンドが最適。木ネジや釘も使えますが、見苦しい凹凸が出来てしまう可能性も高いので、目立たないところや、ねじ式にしてでパーツ取り外しを行えるようにしたい部分などに限定した方が良いです。切断ミスで、すき間が出来てしまった場合には、木工用パテで埋めます。
     仕上げの磨きは通常#400以上の紙ヤスリで行うべきでしょうが、細かいところに気を使っても無意味な百ハイ仮装においては#240程度で十分です…多分。
     表面処理は、ニスで行います。ニスには油性と水性、アクリルニスとウレタンニスがありますが、私は乾きが早くてハケの手入れが楽な水性ウレタンニスをよく使います。

    ■塩ビ
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     ◇使用例…ASIMO腕部、DAKARA内部補強用

     化学樹脂の中でいちばん古い素材です。パイプや雨どいに使われているヤツですね。パイプ状のパーツが欲しい時に一番に目に付くのがこれですが、水道用のものは意外と重い上にヘナヘナで、使い勝手が悪かったりします。ホームセンターのモールやアルミパイプのコーナーに一緒においてある白いパイプなどを推奨。
     板状の物には、普通の塩ビ板と発泡塩ビ板の2種類があります。発泡塩ビ板は、その名の通り、板内部に気泡が入っており、普通の塩ビ板に比べて厚くて割れにくいのが特徴。下手に高くて硬いアクリルを買ってしまって加工にヒーコラ言うぐらいなら、発泡塩ビ板を使いましょう。
     切断は、薄いものはカッターナイフ、厚いものはアクリルカッターを使いますが、がんばれば万能バサミでも切れます。
     接着は塩ビ用の接着剤もありますがかなり臭いので、普通のプラスチック用接着剤や瞬間接着剤などを使うのが良いでしょう。



    ■軟質ウレタン
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     ◇使用例…DAKARA腕部&脚部、二宮金次郎像草履&本部分

     早い話がスポンジ。一定の形状を保つ必要が無い部分には手芸用の綿でOKですが、一定の形を保ちつつも柔軟性を持たせたい部分、つまりは被り物の腕とか足にはこれを使います。
     大まかな形状を積層法で作った後、表面に布を張ってラテックス塗り、というのが何かと使い勝手の良い方法だと思われます。全身の質感が布のままでも良いのならラテックス塗りは必要ないでしょう。
     切断は電熱線で溶断も出来るようですが、ハサミやカッターでも十分です。
     接着には柔軟性のある合成ゴム系接着剤。ウレタンと表面にはる布もしっかり接着していないと、細かいシワが出来て見苦しいので注意。
     正直なところあまり使った事が無いので、いまいち勝手が分かりません。各自研究してください。



    ■レジンキャスト
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     ◇使用例…ASIMO頭部表面、二宮金次郎像マスク部分

     硬質無発泡ウレタンのこと。ガレージキットの素材として知られています。A液とB液の2つを混合すると5〜20分で硬化し、かなりの硬度になりつつも加工がしやすいので、模型材料に最適です。
     ガレージキットではシリコン型にこれを流し込んで好きな形に硬化させますが、シリコンゴムはかなり高価なので、百ハイ仮装用の大きなハリボテなどには不適。発泡スチロールで作った心材の上にモデリングペーストやジエッソで塗膜を作って中に染み込まないようにし(染み込むと発泡スチロールが溶けます)、その上にレジン混合液をかけて、硬質ウレタン皮膜を作る…なんて方法を試してみましたが、非硬化時には流動性が高すぎる上に、硬化が始まった途端急激に流動性がなくなるので、困難を極めました。どうしてもって時にしか使わないようにしましょう。



    ■ポリパテ
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     ◇使用例…ASIMO頭部表面&腕部補強用

     ガレージキットにおいて隙間埋めに使われるパテの1つ。主剤に僅かな硬化剤を混ぜて練ると数十分で硬化。かなりの硬度になりつつも加工がしやすいのですが、けっこう割れやすいので注意が必要。レジンキャストで作った物の傷やすき間を埋める時に使います。



    ■布
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     ◇使用例…ペプシマン、たまごっち表面、トロ下半身、森元首相スーツ部、
             DAKARA表面各仮装のアンダーウェア、二宮金次郎像マスク部分

     布ですが…実は生地の種類についてはよく知りません。
    ニットは伸縮性が高いので、体orハリボテベースにぴちっと張り付く物を作る時によく使います。それ以外は自分の求めている質感に使いもので、一番安い物を使えばいいでしょう。見た目さえ良ければOKで、生地について文句を言ってくる人なんていませんしね。



    ■ラテックス
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     ◇使用例…DAKARA表面、二宮金次郎像表面

     ゴムです。最初は白い液体で、塗って乾燥するとゴム皮膜になります。そのまま放置すると輪ゴムみたいな飴色に変色します。かなりアンモニア臭いので、換気に注意。後から表面に着色するとひび割れますから、あらかじめ数〜数十%水性塗料を混ぜて着色します。乾燥後は臭いはなくなりますが、表面がべとべとしてきますから、艶出し剤(写真右)でこすって、ベトつきをなくしつやを出します。塗るのに使用したハケは、石鹸水で洗えば2〜3度使えますが、すぐ駄目になります。大き目の100円ショップでペンキ用のハケを大量に買ってきて使いつぶしていくのが良いでしょう。
     流動性が高いので盛り上げには向きません。なにか良い方法はないかとネットで検索したら、セックスを「盛り上げ」る「ラテックス」製のコンドームの話しか出てきませんでしたし(汗) どうやら、盛り上げる時にはフォームラテックスとかいうのを使うらしいですが、使った事が無いので分かりません。



    ■アルミ
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     ◇使用例…iMacフレーム

     軽金属の代表格。比重は鉄の1/3と軽い上に粘り強く、錆びにくいのが特徴。とはいっても、ハリボテ外面をこれで作ると、加工のし難さや重量でえらい目にあいます。アルミパイプやモールもハリボテのフレームに使用するにとどめたほうが無難でしょう。木材フレームだと、どうしても太くなりがちですから、装着時の中の居住空間(?)を広げるには悪くない手です。
     切断は金ノコを使います。バリが出やすいので切断面を金ヤスリで削るのもお忘れなく。



    ■マジックテープ
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     ◇使用例…各仮装の様々な部分

    一時的に固定したり、調整幅を持たせたい部分に使います。布部分に使うのが一般ですが、プラスチックや金属部分に使ってもさほど問題はありません。ただ、あらかじめ粘着剤が付いているタイプは使用中にほぼ100%剥がれます。粘着剤が付いていないタイプのものを縫い付けるか、他の強力な接着剤で貼り付ける方が丈夫です。



    ■針金
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     ◇使用例…森元首相スーツ部分、各種固定用

    ビニールコートされた普通の針金です。太い物は布部分の形を整えるのに、細い物は、パーツの一時的な固定に使えます。歩いている最中に、30cm程度のものを数本持っておけば、緊急時の補修などに役立ちます。




    ■ハサミ
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     ▲ハサミ砥ぎ器(上左)・ハサミ(上右)・金切りバサミ(下)

     比較的厚手のものを切る事が多いので、大き目のものを使うのが良いでしょう。普通の紙や布用以外にも、薄い金属板やプラスチック板も切れる万能バサミや金切りバサミもあると便利です。
     また、ハサミ専用の研ぎ器(写真上左)なんてのもありますが…500円程度のものですが、これで研ぐと面白いほどよく切れるようになりますので、余裕があれば試してみてはいかがかと。



    ■カッターナイフ
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     ▲左より、カッターナイフ・アクリルカッター
      サークルカッター・ロータリーカッター


     事務用の小さい物ではなくて、日曜大工用の大き目のものが良いでしょう。紙だけでなく、薄いベニヤ板などもこれで切る事が出来ます。  この他にも、プラスチック切断用のアクリルカッターや、円形に綺麗に切れるサークルカッター、回転刃の付いたロータリーカッターなどがありますが、用途に合わせて使い分けると良いでしょう。



    ■定規
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     ▲上より、30cm・60cm・1mアルミ製定規

     普通のプラスチック製ものさしでもかまいませんが、カッターの刃を当ててガリガリ切断作業するには、やはりアルミorステンレス製の物差しがあった方が心強いです。60cm程度のが一本あればよいですが、余裕があれば、1m程度の物もあると便利…なんとなく数学教師気分も味わえますし。



    ■ノコギリ
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     ▲上より、両刃ノコギリ・金ノコ・レザーソー

     両刃ノコギリでも片刃ノコギリでもかまいませんが、中折れ収納式の物は作業中にカッコンカッコン曲がって使いづらいので、出来れば避けましょう。木材以外にも発泡スチロールの切り出しに持つ変えますし、発泡スチロールに刃を立てたまま真横に動かせば超荒削りも出来ない事も無いです。
     金属部品を切断する時には金ノコを使います。それ以外に、木材や金属も切れる上に、刃厚が薄くて切断による誤差の少ないレザーソーなってのもあると便利です。



    ■キリ・ハンドドリル
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     ▲リーマー(左)・ハンドドリル(右上)・ドリルビット(右中)・キリ(右下)

     手っ取り早く簡単に穴をあけるには昔ながらのキリを使うのが簡単です。キリであけた穴の直径が大体3mmぐらいなので、使用するネジを3mmに統一しておけば、何かと作業がはかどります。
     大きな穴をあけたり、正確な直径の穴を開けたいならハンドドリルを使うのが良いでしょう。勿論電動ドリルやボール盤があったなら、それを使うに越した事はありません。
     安物のドリルビットセットはおよそ、6.5mmまでしか入ってないので、それより大きな穴を開けたければ、小さい穴を開けた後、リーマーで穴を広げていくほうが良いでしょう。でも、そんな大きな穴を硬い物に正確に開けなければならない百ハイ仮装衣装なんて、設計思想からして間違っているような気がします。「大雑把に開けた穴の上からカッターで円をくり抜いた薄いプラ板をかぶせる」等の見栄えを維持したままの手抜き法を実行したほうが、手にも財布にも優しいはずです。



    ■ペンチ・ドライバー・ハンマー
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     ▲左より、ニッパー・ペンチ・ラジオペンチ
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     ▲上より、ドライバー・ミニドライバー
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     ▲上より、金づち・モンキースパナ

     摘んだり叩いたり回したりする、日曜大工の基本ツール。安物で十分です。
     ペンチ類は、普通のペンチ・ラジオペンチ・ニッパーの三種類があると何かと楽。ドライバーは、普通の者でかまいませんが、道中に修理が必要になった時に使えるミニサイズの物があると安心です。ボルト・ナットの締め付けには、ペンチで挟むよりも、サイズのあったスパナ・レンチを使った方が傷が付かなくてベターです。



    ■ヤスリ・カンナ
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     ▲ドレッサー(左上)・半丸ヤスリ荒目(左中)
       発泡スチロール用彫刻刀(左下)
       紙ヤスリと耐水ペーパー(右上)・カンナ(右下)


     切断ツールで大まかな形を作った後、細部を仕上げていくのがこのヤスリ群ですが、用途によって形状がかなり違います。
    • 平ヤスリ・半丸ヤスリ・丸ヤスリ
       凹凸の付いた金属棒に柄の付いたいわゆる普通のヤスリ。削る面の形によって、金属部の形状が平・半丸・丸と分けられ、さらに凹凸の高さによって荒目・中目・細目と分けられます。どれを買えばよいか迷ったら、半丸の荒目が一本あればよいでしょう。
    • ドレッサー
       ドアの取っ手の様なグリップの付いたヤスリ。主に木工用ですが、発泡スチロールの削り出しに威力を発揮します。荒目の平ドレッサーがあれば事足りるでしょう。
    • 紙ヤスリ・耐水ペーパー
       紙に研磨剤を付着させたヤスリ。#60→#1000と数が大きくなればなるほど目が細かくなります。木工においては、#400以上で仕上げるのが普通ですが、細かい仕上げが意味を成さない百ハイ仮装においては、#240程度で仕上げてOKです。発泡スチロールの表面仕上げは#80で平らにした後、モデリングペースト&ジエッソを塗ればよいでしょう。
       耐水ペーパーは、砥石のように水に濡らしながら使う紙やすりで、摩擦熱でケバ立ったり、削りカスで目が詰まってしまいがちなプラスチックなどの研磨に使います。モデリングペースト&ジエッソを塗った後の凹凸が気になったら、#320程度の耐水ペーパーでなでると良いでしょう。
    • 発泡スチロール用彫刻刀
       彫刻刀と名が付いていますが、先端に刃の変わりにヤスリが付いています。発泡スチロールを削るには最適です。




    ■ミシン
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     ▲安物ミシン

     手縫いでもかまいませんが、やはりミシンがあると楽です。安物で十分。



    ■接着剤
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     ▲木工用ボンド(左上)・スチのり(左下)・合成ゴム系接着剤(右上)
       瞬間接着剤液体タイプ&ゼリータイプ(右下)


     接着する素材・用途にあわせて種類を選ぶ必要がありますが、大体次のように分ければよいでしょう。

    • ゴム・軟質ウレタン部分など柔軟な部分→合成ゴム系接着剤
    • 発泡スチロール部分→発泡スチロール用接着剤・大量に使う場合はスチのり
    • 木部でかなり荷重がかかる部分→木工用ボンド
    • 上記以外→瞬間接着剤

     瞬間接着剤を多用すると作業効率が上がりますし、道中の修理用にも何かと使えるので、荷物の中に入れておくと重宝します。ただ、接着部分は衝撃に弱いので注意。
     発泡スチロールで大きなハリボテを作る時には、チューブ入りの物ではとても足りないので、大きな容器に入って詰め替えも出来るスチのりを使うと良いでしょう。



    ■モデリングペースト・ジエッソ
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     ▲左より、ジエッソ・モデリングペースト(ライト)

     アクリル絵の具用の盛り上げ剤・下地剤です。独特の臭いがありますが、有機溶剤が含まれてませんから手で触れても大丈夫です…多分。固まると厄介ですが。
     モデリングペーストには数種類ありますが、重くなりがちなので「ライト」などの軽量タイプを使うと良いでしょう。ジエッソには色付きのもありますので、上に色を塗るのが面倒くさい時には、色つきジエッソのみでもかまわないと思います。
     乾燥後は耐水性になりますが、少々心もとないので、表面に一度クリア塗料を吹いておけば安心でしょう。



    ■その他あると便利な物
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     ▲ガンタッカー

    木にも打ち込めるホッチキスの親玉みたいな物。木工時の荷重のかからない部分の固定や、接着剤が乾くまでの仮固定などに使えます。

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     ▲梱包用テープ(クリア)

    余裕があれば道中もって歩く荷物に入れておけば、緊急時の補修に使えます。透明なので、下地の色が何でも使え、見栄えが悪くなりません。

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     ▲発泡ウレタンスプレー

    本来は充填用ですが、結構接着力が強いので、切断面が凸凹になってしまった発泡スチロール同士の接着に使えます。ただ、モコモコと膨らんで接着面を広げてしまうので、ちゃんと固定させておく必要があります。乾燥後は発泡スチロールよりも若干硬い程度の似たような質感になるので、比較的作業も楽です。
     手に付いたり飛び散ったりすると、後始末がかなり厄介です。ビニール手袋等をはめて十分に注意して作業しましょう。