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ただいま夜逃げ中

 ここでは、工房長が2度に渡って行った自作リアカーによる引っ越しと、その為にあり合わせの材料で制作された3台のリアカーについて掲載しています。現在の交通事情を考えると、このリアカーでの引っ越しは昼間に行えないために、その作業のほとんどは夜に行われました。そのため、端から見ると「夜逃げ」そのもの…

 零号機・「川の字くん」
 COMPSITE REAR CAR TYPE 0
  "Mr. PARALLEL-LINES"

写真
大学4年の秋、三鷹市内から市内へ引越しを行うことになった。距離にして1.5km。レンタカーを借りるにも馬鹿らしい距離である。
…ふと部屋を見渡せば、棚に使っているアングル(ネジ穴がたくさん空いてる自作家具製作用の鉄製のフレーム)、使っていないパイプベッド、愛車のMTB…
「これらを組み合わせれば、リアカーが作れるじゃないか?」
というよくわからない発想から、コンポジット・リアカー計画が始動する。
 そんでもって本当に出来上がったのが、写真の1号機。メインフレームがアングルを平行に4本ならべた形なので通称「川の字君」。しかしながらフレームの構造上、車軸付近のモーメントが半端ではなく、フレームがひん曲がってしまって、50mぐらい動いてあえなくリタイヤ…多分、最大積載量は7〜80kg程度では?

 初号機・「井の字くん」
 COMPSITE REAR CAR TYPE 1
  "Mr. DOUBLE CROSSED"

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 前述の零号機・「川の字くん」の失敗のため、急きょトヨタレンタカーに駆け込み、ハイエースを予約。念のため予定を空けてもらっておいた友人に運転を依頼(当時私はまだ無免許だった)…だが音信不通…
 後日、友人が語るに、安眠のために呼出音をオフにしていたのを忘れて数日間すごしていたらしい。
「いやあ、最近電話がかかってこないなあとは思っていたんだよ。」
とのこと…おーい(涙) だが、これが初号機・「井の字くん」の生まれる原因となる。
 レンタカーのキャンセル(運よくキャンセル料はとられなかった)の後、フレームを組み直し、車軸付近のモーメントを小さくすべく、フレームを井の字に組みなおし、めでたく初号機・「井の字くん」の完成!
 結局、旧居と新居の間を5往復、走行距離15km、36時間労働が終了。最大積載量は150kgぐらいじゃないのかな?

 弐号機・「牽引くん」
 COMPSITE REAR CAR TYPE 2
  "Mr. TRACTOR"

写真

写真










写真
 大学院1年の冬に、またまたリヤカーで引っ越しました。今回の移動距離は片道7.8km。もし仮に今回も5往復することになれば全行程78kmとなるわけで、これは結構キツイ。何かいい手だてはないものかと考え付いたのが「自転車でのけん引」です。
 この為に、リヤカー用に新たにタイヤが必要となったのですが、近所のディスカウントショップに一輪リヤカーのタイヤのみが1つ980円で売っていたので、これを2つ買い、めでたしめでたし…
 でも、問題はこれだけでは済みませんでした。この引越しには致命的な問題があったのです。それは
「引越しの経路をどう設定しても、武蔵野一の繁華街・吉祥寺を横切らなければならない」
 リヤカーの横幅は1.15m。この広さを確保でき、かつ交通量も少ない道を探すのに、下見を3度ほど行い何とか程よい道を見つけましたが、数箇所「道幅1.2m」のところがあり、非常にシビアな運転を要求される部分がありました。ついでに、道中に路駐なんてされたら即アウト…そんな心配をよそに、ついに引越し開始の日がやっていました。
 結局、交通量が少ない時間帯を選んで引越しを行ったために、深夜の走行が中心となりました。その結果、下見した道よりも深夜人の居なくなった商店街を突っ切ったほうが走りやすいと言うことに気付き、吉祥寺サンロードを走行(写真右)。タクシーの運ちゃんに励まされ、チーマーのお兄ちゃんには「かっこいいぞ」と誉められ、行きは時速4〜5km、帰りは最高時速25km…快調快調。
 こうやって走っている間に一番恐かったのは、タイヤ周りの故障。このタイヤを支えている部分はアングル用三角コーナーを加工したもので、厚さはたったの1.2mm。鉄板の面と平行にしか力がかからないので、何とか保っていましたが、段差とかある度にヒヤヒヤしていました。夜とは言え、信号待ちで車の途切れた一般道を走り抜けることもあり、その最中に壊れでもしたら、大迷惑になります。とある駐車場も通路にしていたのですが、その出口で、タイヤをポールに思いっきりぶつけたときは一瞬青ざめました…しっかり組んでいたので壊れませんでしたが。
 …でもその恐れていた故障…タイヤのパンク(?)…が起こってしまったのです…しかし、運良く真夜中の吉祥寺サンロードを走行していたときだったので、大した迷惑にはならなかったようです。調べてみたところ、パンクと言うわけではなく単純に「空気が抜けた」という事らしく、念のため携帯していた空気入れで、空気を入れ直すと…チューブが横からはみ出て来ました(冷や汗)。 自転車のパンク修理をした人なら一度は経験があるとは思いますが、これは、タイヤのリム(ホイルの溝の部分)とタイヤの間にチューブが挟まった時に起こる現象で、単純に挟まっているチューブを中に押して入れれば治ります。
 …が、それには、タイヤに負荷がかかっていない状態にしなければなりません。でも荷物が載っかった状態でそれは無理な話。一度持ち上げてみようかと思いましたが、ビクともしませんでした。
 しかし、「片手で持ち上げて負荷を小さくしつつ、片手で空気を入れる」…という作業を繰り返していると、何処でどうなったか、挟まっていたチューブがリムの間にちゃんとはまったらしく、良くわからないウチに直ってしまいました。その後2度ほど往復しましたが、結局壊れることはありませんでした。…はぁ?結局何だったのだろう???
 結局予定通りの5往復で完了。しかし、引越しの途中に風邪をひいて寝込んだり、土日を避けたりした関係上、開始してから完了するまで数日間を要しました。
 途中、何処からともなくすえたような臭いがしてきて、「浮浪者でも引っ付いてきているのかな?」と思って辺りを見回したら自分の臭いだったり…何はともあれ、いろいろ良い経験になりましたが、一番面白かったのは、
「自転車に乗っていて、巻き込み確認をするのは初めてだった。」
ってことでしょうか。

 その後の話  「牽引くん」を製作・運用・分解してから6年半後、何かと手狭になっていたアパートに不便を感じ、思い切って茨城の田舎の借家に引っ越しました。その行程は片道120km…もし仮にこれもまた5往復しなければならないとしたら、全走行距離が1200kmになってしまいます←殺す気ですか?
 そんな訳で、茨城への引越しはちゃんと2t車を借りて行いました。積んでみたら2t車ギリギリ…これだけの荷物を1Kのアパートに詰め込んでいたのですから、よくもまぁあんな狭いところに住んでいたなぁと、我ながら驚くばかりです。
 で、リヤカーの材料はその後どうなったかといいますと、車輪は実家に送ったので、その後どうなったかは不明。アングルは新居の納屋の中に眠っています。車を持つようになり、自転車も捨ててしまいましたから、もう一度同じ事をしろと言われたら難しいでしょうねぇ。
 


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